脳にその声が届くと同時に、
ガルムが飛び上がり
ケルべロスに飛び掛かった。
「ウガァアアァ――」
ケルべロスも負けない。
3本の首の1つで噛み付いた。
ガルムが、怯む。
「ガルム!」
そこらの犬の喧嘩というには、
力もスケールも違う。
神話の冥府の番犬たちの争い。
「――いけっ!」
私は声を張り上げた。
ガルムが飛び掛かり、
ケルべロスが首筋に噛み付いた。
「きゃうんっ」
哀れな声をガルムは出した。
「可愛いっ!――って、違う!」
とっさにキャピッ、と
売れないアイドルのように
私は反応してしまい
いかんいかんと首を振った。



