カラスはお伽話を、続けた。
「その際フェンリルは戦神ティールの腕を噛み切ったサ」
誰だって、鎖は嫌がるだろう。
「立派な狂犬サ」
カラスは言い終えた。
私はその話に
イライラとしていたので、
話が終わりを迎えると
カラスに言った。
「で、ギリシャ神話を使ってんのは誰よ?」
茶色の髪の毛に指を絡ませた。
あんなに五月蠅かった
カラスが黙った。
言えないんだ。
言った私の声には棘があった。
「良いや、まぁ。ケルべロスを見付けたら戻してあげよう」
私の北欧神話を使ってね。
私はこの“力”を
ものにしていた。



