「呼び出されたとき、地獄から番人のケルべロスはいなくなった」
私は頷く。
「その隙に、地獄にいるべき魂が逃亡して、こちらにきてしまったサ」
話はだいぶ分かった。
番人のケルべロスが居ない間に
魂が逃げ出したのだ。
だが何故、
あんな姿になる?
「地獄や天国に居るべき魂は器がなければ来られないサ」
私には魂があり、器の肉体がある。
霊はただとどまっているだけで
死後の世界――あの世――には
行っていないから
器を必要としてここには居ない。
「魂はこちらに来たとき、不完全な肉体を器として中途半端にきてしまったサ」
魂と人間の成り損ない。



