この手で紡ぐ神の欠片




  *

4限目の授業が終わると、
私は開放されている屋上へ出た。

薄い水色に濡れた空。

やっぱり聞こえる
風の音と、いくつもの雑音(こえ)。

私はいつかに乗り越えた
フェンスに触れる。

フェンス越し、
下には街が広がっている。

茶色い髪が風になびく。

私は何をするまでもなく、
ふぁあと欠伸をした。

落ち着かなくて
ただここに来ただけだ。

「――…気持ち良いな」

私は呟いた。

そう呟いた声に、
バサバサと羽が動く音が重なった。

「――人間は翔べないサ」

いつかに言われた言葉。

「知ってるよ」

フェンスにとまったカラス。