「―――…たま、き」

聞き慣れた声と共に
不意に私の背中が
誰かの手に叩かれた。

“それ”は動きを止めた。

のっぺりとした
不気味な白い塊。

「え、えい、と?」

絞り出した声が頼りなかった。

詠人は頷いて、
私の隣にきて手を握った。
体に、熱が戻る。

私と“それ”の間に
詠人が入った。

「お前なんか固まってるんだもん。びっくりだよ」

“それ”が
ゆっくりと後退した。

じりじりと
私と詠人から距離を空ける。