気持ち悪かった。

何か、嫌だった。

足を動かさなきゃ。
動かなきゃ行かなきゃ。
“それ”に――…。

焦る気持ちが
私の中に広がった。

だが何故か、
私は目が離せなかった。

――…嫌だ。
引き寄せられる。
“それ”は何だ?
何なんだ!?

やがて“それ”は、
目も鼻も口もないのに、
確かに私を見た。

全身が、“それ”を拒否した。


ぞわっ。

冬の風ではない冷たさが
私の体に纏わりついた。


“それ”は
ベンチから移動して
ゆっくりゆっくり
私に近付いてくる。


嫌だ。
駄目だ駄目だ逃げなきゃ――…。

“それ”は、

な ん だ ?