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私にとって、
世界は不思議で溢れてる。

今朝、学校へ行く途中に
ベンチに座る“それ”がいた。

“それ”は
のっぺりとしていて、
手も足も何もない
伸ばした粘土のような白いもの。

「……」

さすがに“それ”は
見たことがなく、
私は足を止めて
凝視してしまった。

不気味な、存在だった。

“それ”の周囲には
どんな魔物も霊も
近寄っていない。

“それ”は、何だ?

悪魔でもない天使でもない
霊のでもない魔物でもない。

見れば区別できる私だが、
のっぺりとした細長い“それ”は
どんな存在だと言うのだ。