私は胸元に刻まれた
紅い十字架を思い出した。

これは、証。

胸元に触れる。
それが熱を持っている気がした。


「〈神を壊し、私が神となろう、北欧神話を織り、神話を紡ごう〉――ノルン!」


言いあげた言葉は、
“力”を持って、
私の目の前に現れる。

微かに光の粒をつけて、
それを手で払った。

「初めまして」

月が綺麗ですね、
そう言われて、私は頷いた。

「初めまして、北欧の3女神」

北欧神話の運命の女神、
ノルンと呼ばれる
3人の女神は、
私と目が合うと軽く頭を下げた。