「ったくなんだよ――…」

詠人が悪態をついた。
その言葉に、白い息が混る。

「息、白いね」

そう言って私は息を吐いた。

息が白くなり、消えた。

何が面白いのか、
私はそれを繰り返した。

詠人は微笑んで、
そうだな、と言った。

「冬だよ、本当に」

詠人が白く染まった息に触れようとした。

触れられはしないのに、
手を伸ばした。

どちらからでもなく、
私たちは手を繋いだ。