「詠人のお父さん、失礼します」

私は頭を下げた。
言葉は帰ってこなかった。
皮肉だと受け取ったのだろうか。

私と詠人は階段を降り、
扉を開けて外へ出た。

冬の冷たい風が、
一層冷たく感じられた。