マスコミの数も城金兄の事があって、予定の倍はいるみたいだし。


必死になって人混みを駆け込んだ。


入り口に着いたときには、マキの曲が微かに聞こえる。


よかった。


まだ、七瀬は始まってない。


チケットを提示して入ろうとした。


「すいません。本日は特別公演になりますので、途中入場はお断りしています。」


警備のお兄さんに、ハッキリと言われた。


嘘でしょ?


ここまで来て入れないなんて。


「何とかなりませんか?」


「なりません。」


どうしよう…。


ステージ裏から?


ダメだ。


黒崎も藤原さんも、事務所に戻っちゃってるし。


バイトが多すぎるから、パスがなければ入れないし。


諦め半分で帰ろうとした。


「宮元さん?」


男の声に振り返った。