窓に影


「はい、お給料。ちょっと早いけど、お年玉も兼ねて色つけてあるわよ」

「ありがとう、おばさん」

 そうだった。

 全く先生というイメージはなかったけど、歩はうちに雇われてるんだ。

 なんだか金で繋がってるだけな気がする。

 そしてその金は、響子さんのために使われていくのだ。

「こんな娘だけど、これからもよろしくね」

「こちらこそ」

 これからも、か。

 嬉しくなったり、ムカついたり、悲しくなったり……私は歩が来るたびに、目まぐるしい喜怒哀楽を繰り返すことになる。

 歩は響子さんにベタボレだし、私を何とも思っていないというのは十二分に伝わっている。

 この気持ちが報われることはあるのだろうか。

 報われないのなら……早めに忘れてしまいたい。

 でも忘れる前に確認しておきたいことがある。

 唇を奪ったのが嘘か、本当か――。

 だって悔しいじゃない。

 嘘でも本当でも。