少しだけ整えられた眉。

 賢そうな切れ長の目。

 薄めの唇。

 昨日は肩がぶつかっただけで手を握ってしまいそうになった。

 もし視線が合ってしまったら、今度は唇を重ねてしまいたくなるかもしれない。

 さすがにそれはマズい。

 私は顔を背け立ち上がり、ベッドへ大の字に寝転がった。

「おい」

 歩が眉間にしわの寄った顔をこちらに向ける。

「ちょっとリフレッシュ」

 ごろんと背を向けた。

 白い壁が微かに私の影を映しだしている。

「あんたの頭は一体どうなってんのよ」

「は?」

「何をどうしたらそんな問題スラスラ解けんのよ」

 ごろんと歩の方を向くと肘を机に乗せ頬杖をついていた。

「お前の脳ミソも俺の脳ミソも、大して変わらないよ」

「あんたはわかるじゃん。数学」

 歩は立ち上がりこちらへ歩いてきて、私の腹部の前に腰掛けた。

 グッとベッドが軋む。