窓に影


 涙が止まってから再度自宅へ向かった。

 当たり前だけど、家の前に歩の姿はもうなかった。



 家へ入って、ただいまの直後。

 私は母に相談した。

「お母さん、歩のカテキョ、辞めて欲しい」

 私の真剣な申し出を、母は笑う。

「またケンカしたの? ダメよ、次のテストで点数取れるまではって約束してるんだから」

 真面目に聞いてくれない母に腹が立って、私は自分の部屋に籠もった。

 携帯を開くとメールが二件と着信が三件入っている。

 着信は全て、歩からだった。

 メールは歩と悠晴からで、歩のメールは開く気になれず悠晴のメールだけ開く。

〈クリスマスパーティやらない?〉

 文の後に添付されていた変な絵文字に、思わず吹き出す。

 私は歩のメールを無視したまま、悠晴にメールをした。

〈いいね! やろうよ~〉