「そんなにあたしのことが嫌い?」
やばい。
涙声になってる。
歩に泣き顔なんて、見られたくないのに。
「ごめん、俺言い過ぎ……」
「だったらもうカテキョなんて辞めればいいじゃん!」
彼の謝罪も聞かず、私はそのまま走り出した。
自宅は目の前だったが、こんな情けない顔は家族にも見せたくない。
近所の住宅地の中をメチャクチャに走った。
右に曲がったり、左に曲がったり。
息が切れたら少し歩いて、また走って。
いつの間にか漏れてしまっていた涙が冬の風に冷やされて痛み出す。
かじかんだ手に耐えれなくなって、私はやっと足を止めた。
ベージュ色のカーディガンで涙を拭いたら、袖口がアイラインで黒くなってしまった。
それを気にせず、ごしごし目の下を拭う。
擦りすぎたのか、目尻と目頭がヒリヒリしてきた。



