「恵里、ちょっとこっちおいで」
悠晴に呼ばれ隣に座ると、急に後ろから抱きつかれた。
「ちょっと、歩の前……」
「いいじゃん」
良くないよ。
ふと歩と目が合った。
相変わらずポーカーフェイスだ。
「勉強しないなら帰れば?」
サクッと冷たく言葉を放つ。
悠晴はそれをハハッと笑い、私を解放して再び机に向かった。
今のは一体何だったんだろうか。
彼氏アピール?
リビングで世界史をぎゅうぎゅうに詰め込んだ私はこれ以上勉強する気になれない。
ベッドへダイブして、目を閉じた。
静かになった部屋は、私を即座に眠りに落とす――。
ふと目を覚ますと、もう部屋に悠晴はいなかった。
歩が一人で、私の机を占領している。
寝ぼけ眼のせいか、彼が勉強している姿さえ色っぽく感じた。



