窓に影


 二人が頭を抑えるのと同時に、私の左腕は解放される。

「いってーな。角当たったぞ!」

「知らないよ。あんたたちが手ぇ放さないからでしょ?」

「ちょっと待て。お前いつも恵里にそんな口きいてんのか?」

「あーそうだけど?」

 また始まった……。

 私は二人を横目に静かな一階に下りた。

「あら、勉強は?」

「こっちでやる。あの二人うるさくってしょうがないんだから」

 母はクスクス笑いながら洗い物を続ける。

 そして父が一人テレビを見ているリビングで続きを覚えた。

 あいつらの喚き声に比べれば、テレビの音なんて屁でもなかった。



 それからどれくらい勉強しただろうか。

「上、静かになったわね」

 母の声で二階の変化を知った私は、自分の部屋に上がることにした。

 カチャ

 ドアを開けると、二人の視線が私に刺さる。

 二人は驚くくらい湿っぽい雰囲気になっていた。

 喚き疲れたのだろうか。