窓に影



 勉強が始まるなり、私そっちのけで白熱する男二人。

「だからさ、何でこういう組み合わせになるわけ?」

「しらねーよ。水素原子に聞けっつーの」

 会話からして、おそらく化学の勉強をしているらしい。

 二人を無視して、私は世界史の勉強をしている。

 無視というより、入っていけないのだ。

 世界史なら覚えるだけだし、歩の指導を受ける必要もないし。

 ええっと、マリー・アントワネットの旦那は鍵作りが趣味のルイ16世で……。

「炭素が6なら余りの8つはどうなるんだよ?」

「もう少し考えればわかるだろうが!」

 二人とも1793年にギロチンで処刑されて、フランス革命が……。

「お前そんなんで恵里にちゃんと教えれてんだろうな?」

「金もらってるからには役目は果たしてるっての」

「ダーッ! うるさいのよさっきから!」

 堪忍袋の緒が切れた。

 こいつらの会話聞いてると、マリー・アントワネットとお友達になれそうもない。

「これ以上騒ぐなら歩の部屋でやりなさいよ!」

「……すんません」