窓に影


「今日は特別生徒をお招きしています」

「彼氏だろ」

 賢い歩は靴を見てすぐにわかったらしい。

 私は靴があっても目にも止まらなかったのに。

「はははは! お前だけに恵里を独り占めされてたまるか」

 ドタドタと階段を下りてきた悠晴。

 歩は冷ややかな視線を送る。

「……金取るぞ」

「ケチくせーな。春樹の姉ちゃんにフラれんぜ」

「生憎女には金も労力も惜しまない主義なんだよ」

 出会って三ヶ月にも満たないというのに、私張りの会話をこなしている。

 この二人、実は結構お友達になれるタイプだったりして。

「歩君、いらっしゃい」

 後ろから母の甲高い声がした。

「あ、おばさん。今日は一段と騒がしくなるかも」

「いいのよ。悠ちゃん共々よろしくね」

 母に見せる笑顔は、いつも以上に爽やかだった。

 それにしても母よ、いつの間に悠ちゃんと呼ぶようになったんだ……。