「私にとっては、響子さんの方が大人に見えます。車運転してるからかな」
「そうかもね」
トゲが抜けてしまった響子さんは良い人だった。
きっとあの時は歩についた悪い虫だと思って、敵意を醸し出していたんだと思う。
今日は私に彼氏がいると知って、おそらく安心している。
彼女が良い人であるほど私の中の罪悪感は増していった。
二人が戻ってきたところで、店を出る。
二人は無言で、相変わらず悠晴は敵意を醸し出していた。
「乗ってく?」
響子さんが車のキーを見せてそう言うと、
「いやぁ、もうお姉さんには迷惑かけれないっす」
と悠晴が首を横に振った。
「あはは、迷惑だなんて思ってないよ。ちょっとドライブでもしない?」
私たちは結局お言葉に甘えることにした。
ドライブなんて高校生にとっては未知の領域だ。
響子さんが運転席、歩が助手席。
私と悠晴は後部座席に乗って、出発。



