窓に影




 悠晴の部屋を出て街へ繰り出す。

 いつものように手はしっかりと握られている。

 昨日一番の盛り上がりを見せただろうチョコの特設コーナーに、もうほとんど客は並んでいなかった。

 しかし街自体の人口は日曜というのも手伝っていつもより多い。

 知っている顔もあって、手を振ったり軽く挨拶を交わしたりして、なかなか足は進まなかった。

 そんな感じで三十分、やっと目的地のファミレスに到着した。

「やっぱカップルが多いんだな」

「バレンタインだからでしょ」

 それにしても手を繋いでいる男女の多いこと。

 聡美カップルにも会ったし、浩二&真理カップルにも会った。

 もしかしたら、なんて思っていたが、歩&響子さんカップルは見かけていない。

 それに安心していたのも束の間、のん気に二人でメニューを広げていた時……。

「あら、恵里ちゃん?」

 聞きたくなかった声に、顔を上げた。

「響子さん……と、歩」

 今日も一段と美しい響子さんが笑っている。

 その後ろの歩と目が合った。