窓に影


「おばさん、相変わらずテンション高いな」

 先に言葉を発したのは歩の方だった。

「ああ、うん。歩のこと気に入ってるから」

「あはは、そうだね。自分でもよくわかる」

 プリンの最後の一かけらを口に入れ、笑う歩。

「恵里は眉毛がなくなったみたいだけど」

 口から抜いたスプーンで私の顔を指す。

 化粧も何もしていない貧相な顔だと指摘された気がした。

「あんたに会うのに、化粧なんてしないもん。もったいないじゃない」

 ふーん、と納得したような仕草を見せる。

 腹立つなぁ。

「あんた、何でバイトなんて始めたの?」

「は? 金以外にバイトの理由があるのかよ」

「そういうことじゃなくて。勉強ばっかやってるくせに、お金なんて何に使うのよ」

 歩は眉間にしわを寄せて首を傾げた。

「何か勘違いしてない?」