窓に影


 ぐったりしている私たちを見て、母は笑いながらテーブルにお茶とプリンを乗せた。

「白熱してたわね。下まで聞こえてたわよ」

 テーブルの前に歩と向かい合って座る。

 不機嫌な私。

 母に向けて爽やかに笑う歩。

 ちくしょう。

 気に入らない。

「どう? 恵里は手ごわいでしょう?」

「うん。予想以上だったよ」

「赤点、免れるかしら」

「うーん、何とかする」

 笑い合う母と歩を無視してプリンをスプーンですくった。

 一通り話をした後、母は部屋から出て行ってしまった。

 二人にしないで欲しいのに。

 あぐらをかいて悠長に紅茶をすする歩。

 ちくしょう。

 ちょっとだけイイ男になりやがって。

 ますます気に入らない。

 それにしても間が持たない。

 何か話したほうがいいのだろうか……。