嘘だと思いつつ、私ならやりかねないとも思う。
勉強している間にもそういう衝動に駆られてしまうくらいだし。
「じゃ、また来年ね」
「良いお年を」
部屋より冷える玄関で、ありきたりな年末の挨拶を交わす母と歩。
母の後ろで、私は歩の唇ばかりを気にしていた。
「ほら、恵里も先生にご挨拶しなさい」
先生って……。
「またね」
軽く手を振ると、歩はにっこりと笑って出ていった。
外の冷たい空気が足まで流れて来て、心まできゅっとなった。
部屋に戻り、何時間も放置していた携帯を開く。
聡美や悠晴からメールが何件か入っていた。
翌日、マックにて。
「あーっはっはっ!」
目の前にはバカ笑いする聡美。
「笑わないでよ」
「だって……あはは。記憶ないとか本当にあるんだね」



