「行くな言うても行くんやろ。 なら勝手に行かれるよりは増しや」

「山崎さん!! さすが分からず屋な土方さんとは違いますねぇ!」


抱きつかれた山崎は、一瞬驚きながらも口を開く。



「間島、それ本人に言うたら今度こそ切腹やったりしてな」

「本人には言わないから大丈夫! というわけで、私行ってきますね!」


戦場の中で胸を張って笑えるまで成長したことを誉めてやるべきか、少し間違った考えを持ってしまっていることを正すべきか悩んだ。


が、此処はどちらをとるよりも最も重要なことを言うべきと判断した。


「間島! 無茶だけはするな。 危険やと思うたら、お前だけでも戻ってきぃや」

「はい! 山崎さんも気をつけて!」



御所へと入って行った矢央を見ながら、山崎は小さく息を吐いた。


「わいより、己を心配せぇや」



山崎の気持ちも知らず、矢央は仲間の元へと駆けていく。



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