「楠小十郎言います。 よろしゅうお願いします」

「あっ、間島矢央です! こちらこそ宜しくお願いします」


山崎の部屋で畏まっている少年に、矢央は一瞬言葉を失った。
相当な美少年が、目の前に座っている。


緊張しているのか楠は、白い頬を赤らめキョロキョロと落ち着きない様子で山崎や矢央を観察している。



「楠には、本日より救護隊に所属してもらう」

「きゅ、救護隊ですか?」


くりっとした大きな瞳が驚いた様子で山崎を見た。

最近入隊したばかりの自分が、新たに出来た、しかも重要な隊務につくことに驚いているのだろうか。


そんな楠を顔色一つ変えず

「副長のお決めになったことや。 異存はないな」

と、まるで獲物を狩るかのような鋭い視線を送っている山崎に、また違和感を感じる矢央。


「山崎さん、そんな怖い顔したら楠さん怯えちゃってますよ?」

「えっ!? いえっ、怯えてなんかおりませんっ!」

「へ? そう……でも、汗凄いですよ」

「…っいや、あはは……」


庇ったはずの矢央。

だが楠は何かを誤魔化そうと笑う。

山崎はそんな楠を暫く見た後、土方が矢央に説明したように楠にも救護隊の任務について説明を始めた。




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