「雨が降りそう……」 廊下を歩いていた矢央は、灰色の空を見上げてポツリと呟いた。 今日の屯所はやけに静かだ。 昨夜から慌ただしくしていた隊士達も、局長達に連れられ出払ってしまった。 暇だった矢央は早朝から洗濯をして時間を潰し、雨が降り出しそうな天候を気にし取り込んでいる最中だ。 「ん…しょっとっ」 ふぅ…みんなの稽古着を洗うのって大仕事なのね。 額にうっすら浮かぶ汗を手の甲で拭い、今朝の土方達の話を思い出した。 .