『家を留守にする訳には行かないのはわかったけど…まだ退院させる訳には行きませんよ。それに失明している今、ご自宅帰られても生活するのに危ないです』


ナースは病室内を片付けながら言った。


『でも、こうしている間にも誠也が…誠也が帰ってきてるかも知れない…だからわたしは…』


相沢涼子は悲しげな表情を見せた。


そんな時、目の見えない相沢涼子は自分の目の前に気配を感じた。


青年が相沢涼子の前に歩み寄ったのだった。


『誰かいるのかい?』


相沢涼子は不思議そうな表情を見せた。


『相沢涼子さん…今あなたの目の前にいるのは、息子さんの誠也さんですよ』


ナースは不思議そうな表情を見せる相沢涼子に告げた。