出そうになった声を両手で押し戻し、電柱の裏に隠れた。


心臓がバクバクなってる。

奴には何かあると思っていたけど、まさか子供がいたなんて想像していなかった。


25歳で子持ちなんて、今の時代珍しくもないけど……。


「パパァ! ライオンさんいるかなぁ?」

「いるいる。 ほら、さっさと行くぞ」


テンションの高い男の子に比べ、相変わらずテンション低い。
だけど、奴の表情は見たことないくらい穏やかだった。


手をつないで歩き始めた2人の後ろ姿を、あたしは黙って見送った。


これ以上、あとをつけるのも悪い気がしたのもあるけど、もう一つ不思議な感情があったから。


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