町がすっかり秋の気配に包まれた頃。 木々が色づき、風も日に日に冷たさを増す。 もう、玄関を開け放しておくと寒く感じるようになった。 「そろそろ冬物を出さなくては…」 紫は、あれから毎日を忙しく過ごしている。 紫は今、雪乃の手伝いをするために川端医院に通っている。 給仕の仕事は辞めて、長屋を出ることを大家にも伝えた。 そして、今日は―