市哉は、俯いている紫の顔を見て、ふっ、と笑った。 「紫ちゃん、顔が真っ赤だよ」 「…!」 「照れてるの?」 「…違います」 「はは、じゃあ、提灯の明かりのせいかな」 少しふくれっ面になった紫のことを笑いながら、市哉は、 「あ、そうだ」 と言って、浴衣の袖に手を入れた。