「……オレも転落してしまったよ」



雨の中、僕は笑った。

大粒の雨が僕の身体を叩きつけるけれど、濡れている感触なんてなかった。

雨にまぎれて、涙がこぼれる。


ずっと、ずっと、流すことのなかった涙。

小さな願いさえも叶うことができなかった。

悔しくて、辛くて、悲しくて。



――柚羽。

結局、僕の願いなんて叶わなかったよ。

もう二度と、君に会うことも、抱きしめることもできない。

君に会えたとしても、君が僕を真っ直ぐに見ることなんて二度とない。



……僕は。

目の前に横たわる『もう1人の自分』を見て、声を殺して泣いた。