ボーダーライン


 洗面台の鏡に映る、半裸の俺とバスタオルの真紀。

 その枠に収められた光景に焦る。

「忘れ物」

 洗面台から化粧水とドライヤーを取ってすぐに出て行った。

 ビックリさせるなよ、まったく。

 俺が少し長めのシャワーから出ると、真紀は既に茣蓙で眠っていた。

 真紀がいるこの生活も後半戦。

 バスタオル姿も見慣れた。

 俺は今日も真紀を跨ってベッドに移る。

 そして髪も半乾きのまま横たわった。

 真紀の寝顔を眺める。

 好奇心に押されて、頬を指でつついてみる。

 ピクッとしたが、それ以上は無反応だ。

 約二時間吉田さんと過ごして、一度でもその肌に触れてみようと思っただろうか。

 唇を奪おうと思っただろうか。

 二人でいることに舞い上がっていた俺は、結局「安全な男」のまま帰ってきてしまった。

 また真紀の顔に触れてみる。

 半開きの目。

 半開きの口。

 俺はこの口と……。

 衝動的に何度もこの唇を奪ったあの時の俺は、一体何だったのだろう。