胸の谷間の見え方から、巻きつけたバスタオルがだんだん緩くなっているのがわかる。

 真紀はそれを直そうともしないし、舌を使ったキスをやめようともしない。

 ときに軽く声を漏らし、俺の興奮をとことん煽ってくる。

 バスタオルが解けそうになっているのを察知した俺は、一度唇を離し、タオルを押さえて少しだけ引き上げた。

 これが外れてしまったら、いくら俺でももう無理だと思った。

「いいのに。タオルなんか取れたって」

 顔を赤くして髪を耳にかける。

 耳も少し赤いが、たぶん俺はもっと赤い。

「そんなわけにはいかないだろ」

「どうして?」

 そんなの、簡単じゃないか。

 俺たちは「高校の同級生」だ。

 それを崩すわけには……。

 いや、あれ、もしかして何の差し支えもないのでは。

 俺と真紀が男女の関係になったって、誰も傷つかないじゃないか。

 自分の女以外は抱かない。

 邪魔をしているのは、俺の変なポリシーだけだ。

「ごめん、良平。困らせちゃったね」

 真紀は自分でタオルを押さえ、緩んだところを直した。

「こんな一時的な感情で、良平の大事な初体験をもらうわけにはいかないよね」

 立ち上がり、着替えを持って脱衣所へ。

 俺の心臓はまだ落ち着かず、首筋には汗をかいていた。