それから何分経っただろうか。

 映画の効果か寝付けない。

 俺でさえこの状態なのだから、真紀はもっと眠れないはず。

 ふと下を見ると、真紀は携帯をいじっていた。

 明かりに照らされた顔が不気味だ。

「寝てねえの?」

「うん」

「眠れないんじゃなくて?」

「うるさいな」

 女なんだよな。

 こんなやつでも。

 すごく強いイメージがあるけれど、ちゃんと女の子なんだよな。

 何かあったら、俺が守ってやんなきゃ。

「だっせー。いくつだよ」

 パチンと携帯を閉じて、真紀が起き上がる。

「怖いものは怖いの」

「俺だって怖かったよ」

「程度の問題でしょ」

 あぐらをかいて頭をボリボリ掻いているのがうっすら見えた。

 おっさんみたいだ。

「ねえ」

「なに」

「そっちいっていい?」