とりあえず冷蔵庫からペットボトルの麦茶を取り出し、グラスに注いで差し出した。

「ありがと」

 そう言って男前に麦茶を一気飲みした真紀。

 ぷはーっと息をつき、空のグラスをテーブルに置いた。

 唖然としてそれを眺める俺。

「お前、どうしたの?」

「え? 喉が渇いてたから」

「そうじゃなくて。何だよ? 一ヶ月泊めろって」

 俺がそう聞くと、真紀は急に暗い顔になって、ばつが悪そうに茶色に染められた長い髪を耳にかけた。

 そしてそっと空のグラスをすっと俺のほうへ。

「おかわり」

「あのな」

「もう一杯飲んだら話す」

「……わかったよ」

 俺は仕方なく冷蔵庫へ向かい、麦茶の入ったボトルを持ってテーブルへ戻った。

 ジョジョジョジョ……

 グラスに注ぐ音が嫌に響く。

 彼女はそれをまた男前にグビグビ飲んで、ぷはっと息をついた。