「あれ? あたしベッドで寝てるし」
起き上がって一言目がこれだ。
「覚えてねーの?」
「うん」
「俺がクソしてる間に自分で移ったんだよ」
「え? 良平の優しさじゃないんだ」
「まさか」
そう、と言って立ち上がった真紀。
彼女がトイレに行った隙に、自分のベッドを取り戻しておく。
寝転がると、枕からシャンプーの香りがした。
俺と同じシャンプーなのに、女のにおいがする。
「ねえ、バイトの時間までどっか出かけようよ」
トイレから出て、戻ってくる間に冷蔵庫から昨日俺が買った真紀用の飲み物を開封しながら提案してきた。
「そうだな、ヒマだし。どこ行く?」
「池袋。ハンズ行きたい」
「おお、俺も久々に行きたいな。じゃ、決まり」
目的地も決定し、出かける準備をする。
とりあえず昨日買っておいた食料を差し出すと、
「優しいんだね」
と喜んで食べてくれた。



