ボーダーライン


 重い腰を上げて扉を開ける。

 大きなダンボール箱を一つ渡されて、それをとりあえず受け取る。

 サインをすると配達員は爽やかな笑顔を見せて去って行った。

 箱に貼りついた伝票には俺の知らない男の名前が記入されている。

 おそらく真紀の別れた彼氏だ。

 俺はそれを抱え、部屋の隅に置いた。

 真紀はまだ眠っている。

 勝手に開封するわけにも、だからって起こすわけにもいくまい。

 それにしてもジャマだな。

 俺はその箱を一回軽く蹴って、再び茣蓙へと寝転んだ。

 昼の十二時、真紀の携帯からアラームの音がけたたましく鳴った。

 いつの間にか眠っていた俺は、俺のベッドでアラームの音にも負けずに眠っている真紀の体を揺する。

「おい、鳴ってるぞ」

「んー?」

 寝転がったまま手を伸ばして携帯を探す真紀。

 残念ながら携帯は茣蓙の先のテーブルの上だ。

 俺は未だに鳴り続けるそれを手渡した。

 真紀が操作し、やっと部屋は静かになった。