「いただきます!」

 真紀が勢いよく手を合わせ、ラーメンにがっつく。

 横に座っている客がチラッとこちらを見たのがわかった。

 少し恥ずかしくなって俺は静かに割り箸を割る。

「それで? 決まったの?」

「うん、決まった。ていうか決めた」

 ズルズルとラーメンを胃へ運んでいく真紀。

 よっぽど腹が減っていたのだろうか。

「終電過ぎても送迎あるし」

「つーか何時に帰って来るんだよ」

「店次第。つーことで、合鍵ちょうだい」

「はいはい」

 空腹という最高の出汁を秘めたラーメンはいつも以上に美味い。

 真紀は更にチャーハンとギョーザを追加注文してそれを一人で平らげた。

 ラーメンだけで満足してしまった俺は、食べないの? と首をかしげる真紀をただ唖然と眺めた。

 大食いは高校時代から変わらないようだ。