夜一時ごろだろうか、真紀から電話があった。

 いつの間にか寝てしまっていた俺は、再び寝ぼけ声で電話に出た。

「もしもし」

「あ、ごめん。寝てた?」

「うん。終わったの?」

「終わった。今駅前にいるんだけど、ラーメン食べない?」

 そういえば、真紀が来てから何も食べていない。

 ちょうど腹も鳴りそうなことだし、俺は駅前のコンビニで真紀と待ち合わせをした。

 着替えもしないままチャリに乗ってコンビニを目指す。

 公園の前で飛び出してきた猫を轢きそうになったところで完全に目が覚めた。

 コンビニに着くと雑誌の立ち読みをしていた真紀が俺に気付く。

 こちらを向いた顔が笑顔になった時。

 俺はなぜか、少し嬉しい気持ちになった。

 やっかいな居候のはずなのに。

 コンビニを出たキャバ嬢は、何のためらいもなくチャリの後ろに乗ってきた。

 俺はいつもより力をこめてペダルをこぎ、この時間でもやっているラーメン屋へ向かう。

 信号で止まると、真紀の香水の匂いがする。