闇が拡がる


私の手の届かない

「過去」という 闇が…


あまりに馴染み過ぎた志向だから?

今の自分が狂っているから?


わからない


わからない


わからない


わからない


わからない…!



なぜ


普通でないことに


きづかない…?


記憶をなくしている


私のパーソナルデータは

確かに喪われた


だが


普遍的な常識のデータは

パーソナルな情報が

有る無いに関わらず


病院で目を醒ました時ですら

喪われたことはない


春夏秋冬の意味も順番も


医者とは何で

病院とはどういう場所で

警察はこんな仕事をしている

私は男で


担当のナースは女


朝が来たら目覚め

夜にはベッドで眠る



それらは

考えるまでもない

自明のこと


太陽は西からはのぼらない


それぐらい


わかりきったこと…



……なのに





私は

男になぶられた



それが


私には






…自明だった


太陽が東から昇るように



男に…