危険な誘惑にくちづけを

「ん、とね。
 まず、紫音も知っているコトから話すとね。
 柴田と、宮下先生が、今年の八月二十日に結婚式するって言ったよね?」

「……ああ。
 今から二カ月ぐらい、先になるのか。
 つい最近、招待状が届いたな」

 そう。

 高校時代の親友で。

 わたしが、紫音と付き合いだした頃。

 同じ『学校の先生』に告白して、上手くまとまった柴田は。

 高校を卒業すると、すぐ。

 紫音と同僚だった、宮下先生と結婚した。

 その時は、学校側に気を使ったり。

 家族から、ちょっとした反対があったりなんかして。

 ただこっそり籍を入れるだけの。

 紫音と、たまたま日本に帰って来ていた薫ちゃんが、結婚承諾人のサインをした紙を。

 役所に持っていくだけのコトだったけれど。

 それから、一年と四か月たった、今年の八月の終わりに。

 のびのびだった結婚式をやるっていう、連絡を受けた。

 その中で、ちょっと嬉しい……って言うか。

 ドキドキのお願いをされて、ちょっと……その、困っていたんだ。