『──やぁ、アオ。やっと来てくれたね。このまま見放されてしまうのかと思ったよ』

「……まぁそのつもりだったんだが、事情が変わった。君の声を聞けるのは俺だけではないようだし、彼女は呆れるくらいにお人よしみたいだからな。いずれは巻き込まれただろう。なにより聞きたいことがある」


『なんだい?ボクに答えられることならば』

「…魔法使い・オズの居場所を知っているか?」


『オズが居るのは、エメラルドの都だよ』

「……では、エメラルドの都の場所は?」


『ドロシーが知ってるはずさ』

「…………」
 

ブリキのきこりのその様子に、アオは目当ての答えが返ってくることはないと悟る。
長いため息を吐き出しながらメガネのフレームを押し上げた。

やはりうららと一緒に行くということは、この世界での絶対条件のようだ。
ブリキのきこりから何か情報を引き出せればという僅かばかりの期待も外れた。


「……君は…なぜそうなったんだ…?」


最後に聞いた質問に、ブリキのきこりはどこか嬉しそうに口を開いた。
振り上げたままの腕から覗くその顔は、ひどく人間くさかった。