リオがこの絵本の世界の住人である〝かかし〟から得た情報の通り、家の裏には小川が流れていた。

あまり幅は広くなく、大きい岩を足場にすれば反対側には森が広がっている。
水源を確保できたのはとりあえずありがたいし、できるなら川沿いに進みたいものだが──…。

目的への道が存在する以上、それを外れて進むのは不適切だし、効率の悪いことは嫌いだ。
不本意だがうららが目を覚ますのを待つしかない。

流れる小川の水面を見ながら、知らずアオは溜息を吐きメガネのフレームをカチリと押し上げた。

目的も、意味も。
距離すらも分からない得体の知れない旅。

おそらく一番この世界に似つかわしくなのは自分だろうと思う。

絵本の世界、願いごと探し、オズの魔法使いに夢みる王子──くだらない。
バカげてる。

自分の身に降りかかった以上受け容れるしかないものの、そう思えてならなかった。