「脳みそなんてあったって無くったって、なにも変わらないよ」 なぜだろう。 かかしの話を途中から、冷静に聞いていられない自分がいた。 ――〝脳みそが無い〟? それならおれだって、おんなじだ。見た目だけ。カタチだけの空っぽな存在。 リオにとってこの頭は、脳は…役割すら全うせずただそこにあるだけと変わらない。 だけどそれでも、生きていくのに不便はないし、望んだことも無い。 だって必要だとは、今まで思えなかったから。