「──…チッ」


ふいにレオが舌打ちして空を睨む。
日の沈みかけた空は鮮烈な鮮やかさと、どこか重たさも孕んでいる。


「カラスにまでバカにされてやがる」


レオの不機嫌な呟きにその視線を追うと、はるか頭上をふたつの黒い影がゆっくり旋回していた。
明らかな被害妄想だとは思ったけれど、誰も口には出せなかった。

他人に構う余裕などなく、沈黙はひたすら重く連なるばかり。


延々と同じ景色が続くのではとそう思った時。

ふいに視界の色が、変わった。