ただでさえ人付き合いがあまり得意ではないうららは、正直ソラがいてくれれば大丈夫だと思っていた。
そうでなくても明らかに、協力的には見えない人たち。

こわいし、コワイし、やる気なさそうだし。
一緒に行動する意味を特に見出せない。

だからうららは素直にオズの居場所を口にした。


「オズは、この道の先にいるらしいです。この道がオズに繋がってるって、北の魔女は言ってました」


3人の視線を真っ向から受けて、だけど返す度胸もないうららは、足元に視線を落としながら小さく呟くように口にする。

どれくらいの道のりなのか想像もつかなかったし、『オズの魔法使い』のストーリーがどんなものだったか未だ分からないけれど。
所詮、絵本の世界。
そんな危険なことは無い気がした。

それにこの人たちならひとりでも大丈夫だろう。
根拠は無いけどそんな気がした。
少なくとも本人達は、それを希望している。

うららはいつだって、自分のことだけで手一杯だ。


「……この道…?」


金髪の少年が眉間の皺を一層深めてうららを睨む。
その視線で人が殺せるんじゃないかって思うほど、こわいものだった。

「そう、です…この、黄色の道…」

目を合せることはしようとせず半ば怯えながら答えたうららは、明らかに異様な空気が漂うのを肌で感じて身を竦めた。


――なんでみんな、わたしを睨んでるの? ちゃんと答えたのに。 


困惑するうららにソラが困ったように苦笑いを浮かべながら、そっと肩に手を置いた。
怯えるうららを気遣うように、優しい声音で。


「うらら、残念だけど…僕たちには見えないみたい。そのオズへと続く黄色の道は、どうやらうららにしか見えてないみたいだ」