オズの国を出て草原を越え砂漠の地に足を踏み入れると共に、長いと思われた砂漠の旅路は、あっけなく幕を閉じた。


「ヒトの縄張りに足を踏み入れるときは、それ相応の覚悟がなくちゃ」


西の魔女の現れと共に。


「ハジメマシテ、アタシは西の魔女。この遥か砂漠を支配する者。知ってるわ、小賢しいオズの差し金でしょう?」


西の魔女は忽然とうらら達の目の前に現れた。

頭上空高くに足を組んで座り、悠然とこちらを見下ろしている。
長い銀の髪を翻らせて、その頭にある金色の帽子がひどく目を引いた。

それはあまりにも突然で、うらら達はただ呆然と見上げるしかできなかった。


「バカねぇ、オズに上手くノせられて。東の魔女を消したぐらいで、アタシまで倒せると思った? オズですらアタシに手を出せないのに。ここはアタシの国。この国に足を踏み入れたヤツはアタシの奴隷になってもらわなくちゃならないわ。ルールは、守らなくちゃ…ねぇ?」


西の魔女の笑みは、恐怖を通り越してとにかく異様で不気味だった。
感情がまるで何も感じられない。
身構える誰ひとり、言葉を発せられないほど。

それぐらいに西の魔女は、東の魔女ともオズとも異なる異様な空気を漂わせていた。


「ここまで来たことは褒めてあげる。だけどアンタ達の願いを叶えるわけにはいかない。アンタ達の本当の願いが叶うとき、この世界は再び閉じてしまう…それはとっても、困るのよ」


ゆっくりと、地面との距離を縮めながら西の魔女は空から降りてくる。
そして魔女はその瞳にうららを映した。


「この世界が叶える願いと、この世界で叶う願いは別のもの。あなた達の願いを叶えるのは、オズじゃないわ。だけどアタシの願いは…うらら、あなたが居れば叶う」