やはり一番冷静だったのはアオだった。
願いを叶えてもらえない事態というのも、想定していたのかもしれない。


「その条件は、俺達にも当てはまるはずだ。内容が同じかは分からないが、話から察するに俺たち全員そうカンタンには願いを叶えてはもらえないだろう。
とりあえずは、リオ、明日お前が様子を見てこい。話はそれからだ」


うららが居ない間に明日以降のオズとの面会の順番は決まっていたらしい。
リオがいつものようにのんびりと返事を返す。

今はアオの言う通り、様子を見守るしかなかった。



―――――――…



「おれが会ったオズは、女の人だったよ。緑の巻き毛で、王冠かぶってー、すっごーい美人」


リオの言葉にうらら達は顔を見合わせ、それから浮かせていた腰をソファーに沈め直す。
どこまでも沈んでいきそうなほど柔らかなソファーは、気持ちまで一緒に沈めていく気がした。


「門番が言ってた、姿がひとつじゃないっていうのはホントのようだな」

「メンドくせーな、ぶっ飛ばしちまえよ」


「バカじゃないの返り討ちにされるよ」


少々気の抜けたように体重を背もたれに預けたリオが、クッションを抱き込みそして最後に付け加える。


「そんでやっぱり、西の魔女を倒してこい、てさ」


その言葉にいくつか視線が交差する。
推測が確信を帯び、誰からともなくため息が漏れた。

そしてアオが珍しく面倒くさそうにメガネのフレームを押し上げながら呟いた。


「明日は俺で、明後日はレオ。ともかくオズの要望とやらを合致させて、行動はそれからだな。情報ぐらいは集めるとして…
時間は惜しいがなんにせよ、それしか方法が無いのであれば西の魔女とやらを倒すしかないのだから」