「…帰ろうね、みんな一緒に…たとえここで過ごした日々を先輩たちが忘れてしまっても…わたしはきっと、忘れない…ソラもきっと、忘れないよね…?」


――そうだ、北の魔女は言っていた。先輩たちは名前を取り戻す代償に、記憶が奪われる。願いごとと名前は、きっと繋がってるんだ。


だから願いが叶うとき、ここで過ごした記憶は奪れる。
それはおそらく、現実には必要のないものとして。


――だけどソラは、わたしが勝手に巻き込んでしまっただけ。名前もわたしのことも、ちゃんと覚えていてくれた。


「ソラもきっと、わたしの願いが叶うとき、一緒にかえれるんだよね? 忘れたり、しないよね…?」


ふ、と急に〝忘れられる〟という不安に駆られ、隣りのソラの袖を掴む。
見上げたうららにソラは優しく微笑んで、その大きくて温かな手でうららの手をすっぽりと包んだ。


「忘れないよ、絶対。何があっても僕は、うららを…ここでの日々を、忘れたりしない」


ソラが笑って、力強くそう言ってくれるだけで。
それは今までで一番信じられる言葉だった。


――ソラがそういうならきっと。わたし達はずっと一緒に居られる。この先どんなことが、あっても。


──きっと。